(原題:Sunshine)
2007年/イギリス
上映時間:107分
監督:ダニー・ボイル
キャスト:キリアン・マーフィー/真田広之/ミシェル・ヨー/クリス・エヴァンス/ローズ・バーン/トロイ・ギャリティ/ベネディクト・ウォン/クリフ・カーティス/他
見事なまでに「駄作」の烙印を押されたSFサスペンス映画。
みんな手厳しいよね、ホント。
でも個人的には「悪くないんじゃない?」とフォローしてあげたくなる作品です、とても好きとは言えませんが。
ちなみに監督は「トレインスポッティング」「ザ・ビーチ」で有名なダニー・ボイル氏。
レンタルビデオのセット借り(何本で○○円!みたいなやつ)のため、数合わせで選んだ作品ですが、真田広之さんが出演しているということで当時は話題を呼んでいたそうな。
サスペンスの種明かし部分は正直なところ唐突&強引&意味不明。
なので皆が腹を立てる気持ちも分からんでもないですが、宇宙の描写は思ったより良く出来ているように思います。
宇宙空間の演出は非現実的な気がしないでもないですが、宇宙なんて行ったことないし、知ってるようでよく知らんよね。
未知の世界の話ですからね、聞きかじった知識を振りかざしてドヤ顔する前に、素直に映画を楽しむ姿勢が大事かなと。
せっかく観てるんだしね。
さっくりあらすじ
西暦2057年、太陽の活動が弱くなったせいで地球の気温は著しく下がり、氷の世界に変貌していた。
活動の終焉が近づいた太陽に向かう宇宙船・イカロス2号には各国からの専門家が登場し、マンハッタン島サイズの核弾頭を太陽に打ち込むことで再活性を促すミッションに就いていた。
順調に航行を進め、スイングバイ(天体の万有引力で航行路の変更をするやつ)のために水星に接近すると、7年前のミッションで消息不明となっていたイカロス1号からの救難信号を受け取る。
クルー達の議論の末、イカロス1号に搭載された核弾頭の回収も含め、軌道を変更する一行だったが、、、
船長・カネダ
冷静で頼りなるが、、、
エンジニアのメイス
盾は持ってないよ
遮光シールド越しに見る太陽
この演出は圧巻
センスが悪い、、かな?
とにかくツッコミどころ満載な本作ですが、宇宙船に「イカロス」って名前をつけるだけでもう、センス悪いよね(笑)
宇宙空間に対する科学設定のお話しは置いといて、全人類の未来を背負っている割にはIQ低めで協調性に欠けるクルー達。
大事なミッションで宇宙船に乗るほど優秀な人材のはずなのにすぐにカッカしたり、少数精鋭で優秀な人材のはずなのにうっかり計算ミスしたり。。
それに加え、考察の余地に届かないほどの説明不足な上に、予想の斜め上をいく強引な演出はかなり微妙。
せっかくの優れた映像美を持っておきながら、雑な演出のせいか、脚本的にあまり生かせていないチープな仕上がりになってしまっているのが残念な印象です。
予め「太陽に核弾頭を打ち込む」という目的がハッキリしているし、宇宙船という閉鎖空間内の話なので、単調なシーンが続きがちなのは仕方ないところか。
とはいえ、前半から中盤までの展開はけっこう面白く、7年間も水星の近くを漂い続けたイカロス1号の謎など、ミステリアスな流れは悪くありません。
宇宙船内での長期航行の様子は興味深いものだし、大窓から覗く太陽の存在感は本当に凄いの一言。
幽霊船を見つけたみたいなノリで現れる7年前の宇宙船はドキドキするし、太陽光が直撃する恐ろしさも十二分に伝わってきます。
いきなり画面に映るサブリミナル船長も、不覚にもビビった筆者です。
神々しい太陽の存在に魅入られ、狂気に取りつかれた男の異常な精神性は普通に怖いですし、もう少し上手な見せ方もあったかなと感じますが及第点かな。
鬼才ダニー・ボイル氏の作る世界観は「美しさ」と「怖さ」を対比させる独特の魅力があります。
今回は圧倒的なエネルギーで燃え続ける太陽を「神」に見据え、取るに足らない人間の弱さ、厚かましさを描いた作品にも見えますね。
後半は怒涛の展開で、この辺から賛否分かれるところ。
それなりにビックリするし、それなりにハラハラします。
ただサブリミナル船長が異常に強くて、とても人間とは思えませんでしたが。。
割とあっさり終わってしまうので、もうひとつ感動するポイントが欲しかったかな。
まとめ
全体としてはやはり酷評の多い映画ですが、決してつまらない作品ではないと思います。
地球や月や火星を描く作品は多いですが、太陽に焦点を当てた作品は珍しいものですし。
レンタルで観る価値は十分にあります。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。