(原題:The Equalizer 2)
2018年/アメリカ
上映時間:121分
監督:アントワーン・フークア
キャスト:デンゼル・ワシントン/ペドロ・パスカル/アシュトン・サンダーズ/オーソン・ビーン/ビル・プルマン/他
前作はコチラ。
元CIAエージェント・マッコールおじさんが無双する、サスペンス・アクションの続編となります。
ちなみに、デンゼル・ワシントンのキャリアで初となる続編だそうです。
不遇な少女を助けるためにマフィアを壊滅に追い込んだマッコールおじさんですが、今作では場所を移しタクシードライバーに転職。
隠れた罪人を裁く趣味は相変わらずですが、続編だけあって今度の相手もスケールアップしております。
さっくりあらすじ
元CIAエージェントのマッコールは、マサチューセッツ州でタクシードライバーとして生計を立てていた。
顧客のサムが生き別れた姉を探していることを知り、CIAの旧友であるスーザンに協力を呼びかける。
そのスーザンはブリュッセルで起きた殺人事件を担当することになるが、現場で自殺に見せかける工作を見抜いた後に、何者かに襲撃され殺害されてしまった。
スーザンが殺害されたことを知り、マッコールは報復を誓うのだが、、、
かつてマフィアを壊滅させたマッコール
運転手にジョブチェンジ
そして相変わらずのお節介
美術学生のマイルズに目をかける
全く衰えぬ戦闘力
巨大な陰謀に巻き込まれていく
路線は同じ
「何の変哲も無いおじさんが、鍛え抜かれた戦闘力で悪を討つ」というお約束的な前作から大幅な刷新は無く、今回も安定の勧善懲悪っぷりを発揮しております。
相も変わらず圧倒的な強さで世に蔓延る悪をブチのめすマッコールおじさん、かつて夢見る売春婦を助けたように今回は夢見る美大生を助けます。
容赦なく悪人をぬっ殺すという、殺伐とした映画のエッセンスとして、ちょっとした人助けを挟むのがシリーズ恒例になりそうですね。
で、街の小悪人をブチのめす前半と、ラスボスに至る巨悪人をぬっ殺す後半と、その合間に描かれる人助けと、どれを取っても面白いんですわ。
映画というコンテンツというよりは、連続ドラマとして観たいくらい。
小さな事件をコツコツと(暴力的に)解決していくパートは何とも言えぬ爽快感がありますし。
弱者や貧困層を(暴力的に)救うドラマ性には胸がすく想いがありますし。
脅威となる大敵を相手に、常に冷静に(暴力的に)無力化(殺害)していくサマにはプロとしての迫力がありますし。
かなり暴力的なシーンのオンパレードにも関わらず、フークア監督が手掛ける演出と、感情的にならず紳士的な態度を崩さないデンゼル・ワシントンの演技力が見事にバランスを保っているわけで。
極めて理知的でありながらも極めて暴力的、この相反する二面性を映像として完成させた2人の功績は称えられて然るべきだと言えるでしょう。
とはいえマイナス面が無いわけでもなく、安定感はあれど前作を超えるインパクトがあるかと言えばそんなことも無いんですな。
期待通りの面白さだけど、期待以上の出来ではないってこと。
物語の構成は非常にオーソドックスなもので、悪く言えばありきたり。
ラストバトルも嵐が上陸した無人の町という微妙なチョイスであり、シンプルに見づらいし。
ついでに言えばプロ同士の戦いって描くの難しいんですよね、実力が伯仲している2人なら地の利がある方が絶対に勝つし。
それを覆すようなアイデアに説得力を持たせるのは難度の高い演出ですし、それ故に最大の見せ場ともなるんですが、本作では少々物足りないかなと。
あまりにもマッコール無双が過ぎて、やや緊迫感に欠ける印象です。
真っ直ぐ正当な続編であることに変わりはない反面、平凡なおじさんが実は最強というギャップがネタバレしているだけに、もう一つ盛り上がりが欲しかったような。
前作に比べ、マフィアやチンピラという分かりやすい悪ではなく、元同僚のプロフェッショナルという点も個人的にはマイナス。
プロvsプロの高度な戦いよりも、プロが多数のチンピラをやっつける画の方が魅力的ですね。
とはいえ作品としては及第点な完成度ではありますし、これほどハードルが上がってしまっただけに前作が良く出来ていたということなんでしょう。
まとめ
容赦なく悪を裁く描写は観ていて気持ち良いものですし、作品の根幹は王道的な続編として十分に楽しめるものです。
多少の不満はあれど、全体的に観ればさほど気になるものではないですし、誰でもそれなりに楽しめる映画だと言って良いでしょう。
フークア監督によれば3作目の構想もあるんだそうですが、この辺で幕引きした方が良いかもなぁ。。
前作の方が面白いのは間違いないけれど、コレはコレで観て損はないでしょう。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。