(原題:Happy Death Day)
2017年/アメリカ
上映時間:96分
監督:クリストファー・B・ランドン
キャスト:ジェシカ・ローテ/イズラエル・ブルサード/ルビー・モディーン/レイチェル・マシューズ/チャールズ・エイトキン/他
正体不明の殺人鬼に殺される”1日”から逃れるために奮闘するタイムループ・スリラー。
「ハロウィン」や「ゲットアウト」のジェイソン・ブラムがプロデューサーを務めます。
スラッシャー・ホラーでありながらも随所にユーモアが散りばめられ、お約束的な展開の中でアイデアが光ります。
結果として、陰鬱な展開になりやすいカテゴリながら、怖さよりも笑いや好奇心が上回るのが実に印象的。
血みどろ系ホラーが苦手な方にはうってつけの、初心者に優しい仕上がりになっております。
さっくりあらすじ
9月18日の月曜日、誕生日を迎えたテレサは同級生のカーターの部屋で目を覚ます。
二日酔いがひどいテレサは誰に対しても傍若無人に振舞い、その夜にはまた別のパーティーへと向かうのだった。
その道中、通りかかったトンネル内で大学のマスコット・ベビーのお面をつけた不審者と遭遇し、ナイフで刺し殺されてしまうのだが、、、
終わらない悪夢のように
殺される度に目が覚める
時間を繰り返していると気づき
殺人鬼から逃げ切ろうとするが、、
何度試しても、失敗
原因を探ろうとするのだが、、、
死にまくる青春
主人公・テレサを演じるジェシカ・ローテの絶妙なビッチっぷりも相まって、非常に魅力的で面白い作品ですな。
不気味な殺人鬼に追い掛け回され、どうあがいても殺されるという恐ろしい物語にも関わらず、過度な緊張感や恐怖感を感じさせない明るい雰囲気は彼女のビジュアルと演技によるものだと言って良いでしょう。
脚本的にもそれなりに練ってある土台があり、誰が犯人なのかは初回では分からない人の方が多いのではと思います。
全体的にコメディ調でありながらも、いざ殺人鬼と対峙した時の緊張感など、シメるところはきっちりシメてあるのも好印象。
きちんとメリハリのついた、丁寧な仕上がりが印象的です。
刺殺・撲殺・爆殺と、何度も殺される1日を過ごす不遇のヒロイン・テレサのビッチっぷりがとにかく印象的。
見たまんまのアバズレ感をそのままに、まぁ性格悪いのなんの。
理由はどうあれ世話になった人間をないがしろにし、誕生日ケーキを本人の前で捨て、学業的な遅れを教授との不倫で誤魔化すようなしょーもない女子ですわ。
スレンダーながらも肉付きの良いボディラインに、どこか妖艶さを醸し出す顔立ちに、どうにも生々しい魅力に溢れています。
ビッチ萌えな筆者としては久しぶりにど真ん中。
(どうでもよい)
そんな彼女が何故に殺され、何故に1日を繰り返し、どうやって危機を脱するかの試行錯誤が物語の中心となります。
殺されるまでの過程に緊張感が漂うものの、中盤を過ぎれば生き返る前提になるので恐怖感はそこまで感じないでしょう。
良く言えばお手軽、悪く言えば軽すぎる不条理感は賛否がありそうですが。
で、これが不思議なもので、不条理な運命を体験すると人間は自身の行いを見直すんですね。
輪廻や神の存在を信じない筆者から見ても納得の思考回路であり、何度も繰り返すが故に悪い行いを省みることはリアルというかユニークというか。
「信じる者は報われる」じゃないですけど、人に親切にすれば自分にも良いことがあるとすがりたくなるのが人情というものなんでしょう。
何度も殺される度に、少しずつ良い人間であろうとするテレサの姿には少し考えさせられるものがありますね。
最初の殺人までの過程はテレサの立ち位置や人格説明も含め、少々長めな印象ではあるものの、その後はテンポ良くスピード感に溢れる流れ。
殺人鬼が誰なのか突き止めようとしたり、逃げる手段を考えたり、内容もバラエティ豊かで全く退屈することがありません。
何度もデジャヴの様に繰り返す1日で、色々と変化をつけようともがいても同じ結末に終始するという展開も実に自然で良く出来ていますね。
最終的に自分に素直に、他人に思いやりを、そしてつらい過去との決別に至るテレサの成長に思わず笑みがこぼれます。
素直で好意的なビッチ感が最高に素敵で、微笑ましいのですよ。
まとめ
非常に丁寧に練られた、明るく楽しいホラー映画です。
ガチなホラー好きからすれば到底物足りない内容でしょうが、箸休め的には丁度良いとも思います。
低予算映画ながらも完成度は高いですし、特に文句も出てこない良作です。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。