(原題:New Year’s Eve)
2011年/アメリカ
上映時間:118分
監督:ゲイリー・マーシャル
キャスト:ヒラリー・スワンク/ミシェル・ファイファー/ザック・エフロン/キャサリン・ハイグル/ジョン・ボン・ジョヴィ/ロバート・デ・ニーロ/ハル・ベリー/他多数
明くる新年を迎え、大晦日を過ごす様々な人々を描いたロマンチックコメディ・ドラマ。
1年の終わりに思いを馳せ、新たな1年に向かって己の足跡を見つめなおす大晦日~元旦という1日は誰にとっても特別なものでしょう。
構成が全く同じなので分かる人にはすぐ分かりますが、監督は「バレンタインデー」を手掛けたゲイリー・マーシャル氏。
様々な人物像を描き、縦と横に物語を紡いでいく演出は実にユニークで面白く、また感動を誘うものであります。
今年1年が上手くいった人も上手くいかなかった人も、誰もが笑って泣ける、1年の締めに相応しい良作だと思います。
さっくりあらすじ
大晦日のニューヨーク、人々はタイムズ・スクエアで新年へのカウントダウンに行われる”ボール・ドロップ”を見るため、街は活気に包まれている。
・タイムズ・スクエア協会の副会長であるクレアは今夜のイベントを成功させるため、極度の緊張に包まれ気が気ではない。
そして彼女にはもうひとつ、心配な事があった。
・レコード会社に勤めるイングリッドは内気で暗く、ろくに休みも取れずに陰鬱な毎日を送っており、とある目的のために会社を辞めることを決意する。
配達業のポールはイングリッドの持つレコード会社主催のパーティー券を得るため、彼女の目的に協力することになる。
・妊婦のテスと夫のグリフィンは同じ待合室にいた妊婦のグレースから、新年で最初に生まれた子供に2万5千ドルの賞金が贈られることを知る。
賞金獲得を目指し、2組の夫婦は互いにライバル心を燃やす。
・イラストレーターのランディは新年に浮かれる人々を目の敵にしており、アパートの廊下に飾られた装飾を片っ端から外してしまう。
集まったゴミを捨てようとするランディ、エレベーターで同じアパートに住むエリーズも乗り合わせたところでエレベーターが故障し、閉じ込められてしまう。
・サムは全く参列者のいない友人の結婚式に参加するが、夜に開催されるパーティーのスピーチを任され焦っていた。
式が終わると急いでニューヨークへと向かうが、事故を起こし車は故障してしまう。
・ケータリング・シェフを務めるローラはとあるパーティーのケータリングを任され、部下たちとパーティーに向けての仕込みをしていた。
そこにパーティーで演奏する予定の大物歌手・ジェンセンが到着する。
・15歳の少女・ヘイリーは同級生のセスからカウントダウン・イベントに誘われ、友人たちと盛り上がっていた。
しかし母親のキムはヘイリーと過ごしたいと、友人と出かけることに反対する。
・末期癌患者であるスタンの容体は不安定で、年が明けるまで持つかどうか微妙なところだった。
スタンは何とかボール・ドロップまでもたせてくれと懇願する中、誰も見舞いに来ないスタンのために看護師のエイミーは一緒に過ごすことにする。
どのエピソードも
とっても素敵な
物語
幸せな新年を
十人十色とは言いますが、世代も立場も環境も異なる人々の小さなエピソードが積み重なり、最終的に大きな物語へと収束していきます。
一人ひとりの価値観や人生に対する苦悩、そして幸せの在り方などなど、年が切り替わるビッグイベントと並行して描かれる人々の姿には何かしらの共感があるのではないでしょうか。
親子・兄弟・親友・知り合い・同級生、そして恋人と。
あらゆる関係性が網羅され、バラバラのピースが一つになり、大いなる感動を誘う構成は観ていてハッピーな気分にさせられます。
どのエピソードも素敵なもので、素直に感動するものから笑えるもの、明らかに無理があるものまで極めて多種多様。
物語の構成上、ある意味で究極のご都合主義な作品だとは思いますが、それを踏まえた上でも感動できるほどに丁寧な作りが印象的です。
大晦日という特別な1日だという事もあり、思わず毎年観たくなるようなセンチメンタルな気持ちにさせられるんですな。
そんな魅力を支えるのが厳選された実力派のキャスティング。
各俳優・女優共に申し分の無い素晴らしい演技力であり、それぞれがほっこりと人間臭い魅力に溢れています。
その中でも特に輝くのがボール・ドロップの責任者であるクレアと、会社を辞めた中年女性・イングリッドのエピソード。
クレアを演じるヒラリー・スワンクは超がつくほどの演技派女優で「ミリオンダラー・ベイビー」や「ボーイズ・ドント・クライ」など、いわゆる憑依型女優の代表格と言えるでしょう。
本作では緊張と責任感と、とある不安から右往左往するコミカルなキャラクターを演じますが、苦し紛れに放つ彼女のスピーチは何度聞いても胸に響きますね。
普段はこういった綺麗事が苦手な筆者ですが、それでも胸を打つのは彼女の類稀なる演技力のおかげだと思います。
そして内気な女性・イングリッドを演じるミシェル・ファイファーがもう、超萌えます。
「くたびれた中年女性に萌える」なんて初めての体験ですし、オドオドしながらも内なる魅力を存分に発揮するミシェルの魅力は留まることを知りません。
素直に感情を吐露できず、控えめに喜ぶ姿にはもうメロメロですわ(キモい)
まとめ
大晦日が近づくと観たくなる映画であり、実際に毎年飽きもせず観てます(笑)
誰が観てもそれなりに楽しめる作品だと思いますし、1年のピリオドを感じるのにうってつけな映画なんですよ。
年末年始って暇だしね、忘年会に飽きたら、何だったら忘年会に皆で観たら良いんじゃないでしょうか。
オススメです。
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
ネタバレになりますが、最後にクレアの名言で締めたいと思います。
To remember both our triumphs and our missteps-our promises made, and broken.
(達成したことも失敗したことも、守った約束も果たせなかった約束も、全てを思い出してみて)
The times we opened ourselves up to great adventures-or closed ourselves down,for fear or getting hurt.
(素晴らしい冒険に出た人も、傷つくことを恐れて閉じこもった人も)
Because that’s what New Years’s is all about getting another chance.
(新年には新たなチャンスがやってくる)
A chance to forgive,to do better,to do more,to love more.
(人を許すチャンスが、もっと上手に事を運ぶチャンスが、より沢山やり遂げるチャンスが、もっと愛するチャンスが)
今年も当ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
では皆様、良いお年を!!