(原題:Overlord)
2018年/アメリカ
上映時間:110分
監督:ジュリアス・エイバリー
キャスト:ジョバン・アデポ/ワイアット・ラッセル/マチルド・オリヴィエ/ピルー・アスベック/ジョン・マガロ/イアン・デ・カーステッカー/他
第二次世界大戦・ノルマンディー上陸作戦を背景に、ナチスドイツの秘密兵器と戦うアメリカ軍の姿を描くSFスリラー。
新生「スターウォーズ」シリーズや「ミッション:インポッシブル」など、大作を手掛けてきた売れっ子J・J・エイブラムスが製作総指揮を務めます。
いわゆるB級映画に当たる作品だと思いますが、トンデモ説のゾンビスリラーとしては極めて良く出来ている映画だと言えるかなと。
少なからずグロ描写がありますが、よほど苦手な人じゃなければ結構楽しめるのではと思います。
さっくりあらすじ
ノルマンディー上陸作戦開始後、第101空挺師団はドイツ軍の通信網を破壊するべくフランス上空へと差し掛かるが、猛烈な反撃に遭い墜落してしまう。
何とか生き延びたアメリカ兵のボイスは同じく生き残ったフォード・ティベット・チェイスの3人と合流し、ドイツ軍の軍事施設を目指す。
道中で見つけたフランス人女性のクロエの家に匿ってもらった4人は、限られた時間の中で通信アンテナの爆破作戦を練るのだが、、、
第101空挺師団
ドイツの軍事基地を目指す
しかしヘリは墜落
残った仲間で作戦続行
偶然にも基地へ侵入したボイス
そこで恐ろしい実験を目の当たりにする
アイデア賞
最近はこういった良質なB級映画が減ってきたせいもあり、戦争×ゾンビホラーという設定はむしろ新鮮にも感じ得ます。
ナチスの秘密の人体実験=ゾンビ兵士というアイデアは不謹慎ながらも面白いものですし、また映画としての作りが丁寧なんですよね。
若干の粗さは残るものの、ゾンビものとしても戦争ものとしても及第点な完成度と言って良いかなと。
つまりはマニア向けゾンビ映画と、娯楽向け戦争映画のちょうど良い塩梅を狙った作品として、マーケティングに於けるこのバランス感覚は優れていると言って良いでしょう。
むしろ、スプラッタ・ホラー初心者向けのエンタメ作品と言った方がしっくり来るかもしれませんね。
物語としては、ヘリが堕とされ散りじりになった4人のアメリカ兵がドイツ軍基地を攻撃するという流れ。
それと並行してナチスの実験に伴う、新たな脅威に直面する恐怖が描かれます。
敵の陣地に迷い込み、いつバレるか分からない緊張感。
敵の施設に侵入し、いつ怪物兵士に襲われるか分からない焦燥感。
嫌悪感を煽る映像表現は素晴らしく、また迫力ある銃撃戦の音響もまた素晴らしいものなんですが、でも記憶には残らない不思議な作品ですな。
特に戦争モードの前半を過ぎて、SFスリラー風な後半に入るとこれが顕著なもので、ゾンビの設定自体があやふやだから徐々に投げっぱなしになっていくんですな。
「そこがキモだろうよ!!」とツッコミたくなる部分でもあり、かといってそこまでムキになるほどに熱中する映画ではないと冷静にもなり、「何でコレ観てるんだっけ?」と一瞬我に返ります(笑)
そこそこに良く出来たホラーだと思う反面、特に印象に残るものも無く、そのあたりがB級の域を出ない理由なのかもしれません。
唯一マジで関心したのは特殊メイクで、何でもCG&VFXで映像が作られる昨今で極力本物にこだわり、往年のホラー感を演出しようとした狙いは素晴らしいものです。
このアナログなホラー感の再現に挑戦した姿勢は褒めて然るべきものであり、また良質なホラーの源だとも思います。
ちなみに興行的にもそこまで振るわなかったそうで、良くも悪くも薄っぺらい作品だということなんでしょう。
キャストは余程のマニアでなければ分からないであろう中堅俳優が中心であり、良い意味で誰がどういった展開を生むのかは読めません。
個人的には映画にはもっと大勢の俳優を起用するべきだと思っているので、このキャスティングだけは手放しで絶賛したいくらい。
まとめ
「面白いのか?」と聞かれると返答に困る映画ですが、決してつまらない作品ではありません。
「深夜に放映されてたら、うっかり最後まで観ちゃった」系の映画ですね、マジで観るほど大した作品ではないでしょうが、スルーするには少々勿体ない気もします。
まぁそもそもB級ホラーですしね、好きな人しか観ないジャンルでしょう。
この手の映画が好きな方は観て損はありませんよ。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。