(原題:Free Fire)
2016年/イギリス
上映時間:90分
監督:ベン・ウィートリー
キャスト:ブリー・ラーソン/シャールト・コプリー/アーミー・ハマー/キリアン・マーフィー/ジャック・レイナー/他
重火器の密売取引を巡り、疑心暗鬼になった人々がトラブルを巻き起こすガンアクション・コメディ。
「ディパーテッド」や「シャッターアイランド」などで有名なマーティン・スコセッシ氏が製作総指揮を務めます。
やはりイギリス映画ならではのシュールでウィットに富んだユーモアの数々と、スコセッシ作品ならではの痛そうな暴力描写が特徴的です。
個人的には何とも言い難い感想になってしまいましたが、人によっては楽しめる内容だと思います。
さっくりあらすじ
麻薬中毒者のスティーヴォと相棒のバーニーは、IRA構成員のフランクとクリスに会うため、郊外の倉庫へと向かう。
いざ倉庫へと入り重火器の取引が始まるが、注文と異なる銃だと判明し、緊張感が走る。
そんな中、密売業者のハリーはスティーヴォこそが自分の従姉妹に乱暴した男だと気が付き、スティーヴォに殴りかかったせいで更なる緊張感が漂うことに。
スティーヴォなりの謝罪をするが逆効果となり、怒りで我を忘れたハリーが銃を抜いてしまうのだが、、、
IRA構成員・クリスとその仲間たち
銃の売買にやって来た
些細な諍いがトラブルに発展
総力戦の撃ち合いに
生き残るのは誰だ!?
意外性×意外性
ということで、作品の内容に対してキャストの顔ぶれが良い意味でミスマッチな印象です。
「ルーム」でオスカー女優に輝き、今度は「キャプテン・マーブル」になったブリー・ラーソン。
「第9地区」や「エリジウム」で驚異的な演技を披露したシャールト・コプリー。
「ローンレンジャー」や「コードネームU.N.C.L.E」のアーミー・ハマー。
「ダーク・ナイト」や「インセプション」など、ネガティブな演技が光るキリアン・マーフィー。
そして、主に脇役ながらも活動の幅を広げるジャック・レイナーやサム・ライリーなどなど。
どれもこれも非常に濃いめで味わい深い、個性的な俳優ばかり。
そんな彼らの個性がもたらす化学反応には見応えがあり、これがなかなかに面白い。
物語としては、トラブル続きで災難続きな構成員と売人が、なし崩し的にバトルロワイヤルへと突入していく流れ。
雪だるま式というか、些細な言い合いが大きな炎となり、誰かがキレたら他もキレるという感じで、この辺りが英国流なジョークなんでしょう。
一度キレたら止まらない!とばかりに皆が銃を抜き、バンバカ撃ちまくるような展開であり、人によってはコメディかどうかも微妙かもしれません。
人里離れた倉庫内での銃撃戦であり、映像的な変化は少なめな印象。
しかしそんな単調な構成を補うかのように、演出には工夫が見て取れます。
ただ怒りにまかせて銃を撃つ者もいれば、とにかく金を確保しようとする者もいる。
余裕で大麻を嗜む者もいれば、この取引ごと乗っ取ろうと画策していた者もいると。
それぞれの人物にもう一つ踏み込んだようなキャラクター性で肉付けしてあり、そういう面で変わり映えしない内容に奥行きを出しています。
一歩間違えば死にかねない危険な銃撃戦の中での会話も、バカバカしくて笑えますよ。
ただし、それでも単調な流れによる中だるみはいなめませんが。
そもそも「銃で撃たれた人間も、そう簡単には死なない(要約)」ことを描いただけあって、ストーリー性が希薄なんですな。
馬鹿な人がキレたら阿呆な人がキレて、しょーもない理由でしょーもない銃撃戦が延々描かれるだけですし。
個々の役者の演技の意外性は楽しめますが、それ以上のものは正直ありません。
もう少し面白く出来そうなポテンシャルは感じるだけに、何とも歯がゆい気持ちにさせられます。
うーむ。。
まとめ
退屈な映画とは言いませんが、それほど面白い映画だとも言えません。
とにかく映像的な変化が少なく、脚本的に光るものもなく、印象に残るものもありません。
最初こそ緊張感漂う良い感じのスタートでしたが、本当に最初だけ(笑)
とてもオススメできる映画ではありませんが、観て損はないかな。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。
オマケ
銃弾が人体に当たると(場所にもよるが)瞬間的に弾丸の直径の10倍以上の穴が開くんだとか。
当然ですが骨や内臓や血管に重大な損傷を引き起こすわけですが、それでも拳銃では人は簡単には死なないみたいですね。
しかしライフルになると弾丸の直径の30~40倍の穴になるんだそうで、致命傷とはならなくとも早急な治療をしないと死に至る危険性が高いんだそうな。
あまり触る機会が無いから知らんけど、やはり銃社会は怖いですなぁ。