
(原題:The Core)
2003年/アメリカ
上映時間:135分
監督:ジョン・アミエル
キャスト:アーロン・エッカート/ヒラリー・スワンク/デルロイ・リンドー/スタンリー・トゥッチ/チョッキー・カリョ/ブルース・グリーンウッド/DJクオールズ/アルフレ・ウッダード/リチャード・ジェンキンス
未だにSFの意味を知らない人がけっこういたりしますが、良い機会なのでちょこっと説明。
SFは「サイエンス・フィクション」、日本語にすると「空想科学」
近い将来から遠い未来まで、つまり「今は無理だけどいつかはこんなんできんじゃね?」的なものはすべてSFの定義に当てはまるわけです。
映画の世界ではお馴染みの設定ですね。
猿が進化したり。
改造車で過去に行ったり。
誰も経験したことのない未知の世界を描いていくわけです。
なので、その特性上作られた設定や世界観を受け入れられるかどうかで評価が思いっきり分かれやすい、好き嫌いの差が出やすいジャンルとも言えます。
それだけにギリギリ理解できる、もしくは納得できる「理屈」がキモになってくるわけですが。。。
さっくりあらすじ
地球の中心、核の回転が止まったことで磁場が不安定になり地上では様々な異常事態が発生する。
シカゴ大学のジョシュ・キーズ教授とコンラッド・ジムスキー博士は磁場が消失すれば太陽風にさらされ1年で人類は絶滅すると仮設を立てる。
彼らは人工的に地球核の回転を促すために、地球の中心部で核爆発を起こす作戦を立案。
世界中から各分野の権威を招集し、特殊合金で作られた車両で地下3200キロ地点を目指すのだが、、、
分かりづらいけど、
地球の中心に向かって進むの図
壮大なミッションに挑むクルー達
宇宙より遠い、地球の中心
幅広く定義されるSFでは、多岐に渡るテーマがあります。
その中でも宇宙、タイムトラベル、地球外生命体、天変地異、仮想空間あたりは鉄板でしょう。
本作に於いては”天変地異”が当てはまるわけですが、他の作品と異なる特色として、人類滅亡の原因がはるか地下の彼方にあるところです。
つまり、従来の作品でフォーカスされなかった地球の中心を描いた珍しい作品だと言えます。
宇宙空間の怖さや過酷さ、地球外生命体の恐ろしさ、噴火や津波の脅威とは異なるベクトルでありながらも、身近で遠い地球の中心。
38万キロ離れている月よりも3200キロ地下の方が未知の世界に溢れているんです、不思議ですね。
知ってるようで知らない地球のメカニズム、そんな母なる大地を見直す良い機会かもしれません。
で、映画の仕上がりなんですが、、、個人的にはけっこう面白かったです。
なんせ舞台が地下、というかスタート地点が海底なんで、演出の難易度はかなり高かったのだと思います。
本音としては、VFXをふんだんに使った素晴らしい映像の数々も、生かしきれてるかどうかは微妙なところです。
核弾頭を搭載した特殊車両が、超音波ドリルでグングン地中を掘り進んで行くあたりなんかは特にそう。
地殻に存在する障害物を避け、マグマを避けながら進んで行く描写が未知のものすぎてピンとこないんですよね。
というより、さすがに未知の科学すぎて「これは無理なんじゃないか?」という印象が勝ってしまいます。
まだ「アルマゲドン」の方が現実味を感じるくらいです。
なので理解できるのは、車内で交わされるクルー達の会話と心理描写くらい。
SF映画なのに地味という不思議な現象があった気がして、やはりSFのさじ加減て難しいんだなぁーと変なところで感心してしまいました。
荒唐不稽な超科学か、はたまた最新科学を駆使したSFなのか。
紙一重ではありますが、その差が映画としての説得力に大きな差をもたらします。
まとめ
所詮は空想の世界のお話ですし、そんなに目くじらたてるような人はそもそもこの映画は選ばないと思います。
なのでフィクションだからと割り切れれば、なかなかに面白い映画だと思います。
目のつけどころは良かったけど練り方が足りなかったというか、映画としての工夫がもう少しあれば良作になり得た気がしますね。
臨場感のある映像で宇宙の怖さを感じるのも良いですが、たまにはこんな変り種も良いのではないでしょうか?
ぜひ一度ご鑑賞くださいませ。
おまけ
地球の中心は鉄とニッケルからなる内殻と外殻で成り立っているそうな。
ちなみに中心温度は約5700度、固体である内殻の周りを液体の外殻が流動することで電気が流れ磁気が発生するんだとか。
へー(゚д゚)