(原題:Skiptrace)
2016年/アメリカ・中国・香港
上映時間:107分
監督:レニー・ハーリン
キャスト:ジャッキー・チェン/ジョニー・ノックスビル/ファン・ビンビン/エリック・ツァン/ディラン・クォ/他
世界的なスーパースターであるジャッキー・チェンと、一部のマニアの間では超有名なジョニー・ノックスビルがタッグを組んだアクション・コメディ。
思えばジャッキーが「アクションを引退する」と語ったのが「ライジング・ドラゴン」公開時の2012年。
何だかんだでアクション・スタントを見せてくれるジャッキーには、さすがに物足りなさは否めなくとも感謝の念が止まりませんな。
対するジョニー・ノックスビルは、かの有名なイカれ集団「ジャッカス」の中心人物であり、どうして俳優業をやっているのかも不思議なくらいに有名なお方。
この奇妙な2人の化学反応は決して上手くいったとは思いませんが、何だかんだでそれなりに観れる映画にはなっているのかなと思います。
まぁ、ジャッキーファンの筆者のハードルが大幅に甘くなっていることは否定しませんが。
さっくりあらすじ
香港警察のベニーはかつての相棒・ユンを殺害した容疑者であり、香港の犯罪王・ウォンを追っていた。
しかし過度の追跡の結果として停職処分となり、またユンから託されていた娘のサマンサがウォンの犯罪に巻き込まれてしまう。
サマンサを助けるため、ベニーは事件の鍵を握るアメリカ人詐欺師・コナーと接触するためにロシアへと向かうのだが、、、
香港刑事のベニー
犯罪王ウォンを狙う
詐欺師のコナー
完全なるコメディ・リリーフ
ヒロインのサマンサ
言うてもファン・ビンビンは綺麗
趣味、、かな
ちなみにメガホンを取ったのは「ディープブルー」や「クリフハンガー」を手掛けたレニー・ハーリン監督。
それなりに面白い映画を作っているものの、ラジー賞(最低映画賞)ノミネートの常連さんでもあります。
そのせいもあってか現在は中国に移住し、中国資本で映画を撮影しているそうな。
良いか悪いかは別にして、ハリウッドであぶれた監督が中国にシフトし映画を作る流れはこれから増えるかもしれませんな。
いまではそうそう許されないであろうスタントの数々をこなし、また超人的なアクションで人を魅了し続けたジャッキーも公開当時は62歳。
宣言通り本格的なアクションは鳴りを潜め、明るく楽しいアクションにシフトしてから随分経ったように思います。
その間も精力的に映画を作り続ける姿勢には頭が下がる思いですが、基本的にはパターン化してしまっているのが見え隠れする今日この頃ですな。
良くいえば安定のジャッキークオリティですし、悪く言えば変わり映えの無いジャッキー映画と言ったところか。
ここまで映画のスタンスが変わらないのはある意味で凄いと感じる一方で、もはや趣味で映画を作っているのかと思ってしまうくらいに既視感のある内容です。
個人的にはそれなりに楽しめましたけど、恐らくは退屈に感じる人も少なくないでしょう。
とはいえ、「ラッシュアワー」や「シャンハイ・ヌーン&シャンハイ・ナイト」以来、久しぶりの外国人バディ・ムービーでもあるわけで、しかも相棒を務めるはあのジョニー・ノックスビルなわけで。
期待以上ではなくとも期待を裏切らない、それなりに賑やかで楽しい完成度は維持していると思います。
何よりも、おじさんが無双する系として「ジョン・ウィック」や「イコライザー」といった殺伐とした映画が台頭する中で、こういったコメディ調なアクションは貴重なものですよね。
いかに既視感があろうが、ジャッキー・チェンが積み上げてきた数々のアクション・スタントだけは色褪せることなく輝いています。
微妙な点を挙げれば、砂漠(モンゴル?)で謎の大男と戦ったり、かと思えばパーティーで歌ってたり、あまり馴染みの無いコントの質に中国資本の影を感じます。
好意的に捉えれば子供向きな笑い、悪く言えば幼稚な笑いと、やはり海外というよりかは中国市場を意識したコメディセンスはちょっとだけスベっている印象ですな。
ついでに言えば、まだまだCGの技術はレベルが低く、違和感が拭えません。
元々ワイヤーアクションを中心に映画を作っていたお国柄だけに、映像の特殊効果にはまだまだ改善の余地が見えますね。
まとめ
誰でもそれなりに楽しめ、そして退屈に感じるであろう本作。
子供は笑い、ライトなジャッキーファンは苦笑い、ガチなアクションマニアは笑えない、そんな感じでしょうか。
問題は同じような作品を量産するジャッキーではなく、ジャッキーの後釜になれるキャラクターがいないことで、これからのカンフー・アクションの課題と言えるでしょう。
いつか後継者となるスターが誕生すると信じて、それまでは残り少ないジャッキーの雄姿を見守りましょう。
良ければ一度ご鑑賞くださいませ。